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企画展
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飯沢康輔×巳巳
2022年4月15日(金)〜5月5日(祝)

前回の企画展 「表面張 ( 彫 ) 力」は、私が一緒に展示してみたい作家に声をかけて実現した。 今回の企画展は、掛け合わせてみたい作家二人に声をかけた。

作家としての二人との出会いは 2011年の中之条ビエンナーレだった。巳巳さん(当時は田島鉄也) は米と炭を練り合わせた糊をつくり、壁一面に塗りまくっていた。体育館で見たパフォーマンスは 今も鮮明に覚えている。全身にその糊を塗りたくって、床に敷いた大きな紙の上でのたうち回るのである。その痕跡の作品は躍動感にあふれ、単純にかっこよかった。

飯沢さんは、実の所、19 歳当時の私の予備校の先生で、デッサンや塑造を教わっていた。大学入学後も先輩として在学していたが、当時関わりはほとんどなかった。ビエンナーレで再会したときが、ほぼ初めて作品を見る機会となった。キリンホールというパチンコ屋(既に取り壊されている) で農家からもらってきた黒土に水を混ぜて練り、泥人形を大量に作って床に敷き詰めていた。その後は毎回のように作品の傾向は変わりいつも現状を更新している感じがしていた。

以後二人とは度々一緒に酒を飲んでは夜中までアート談議を繰り広げた。毎回のように話題になるのは「何故アートをつくるのか」「何のためにアートはあるのか」である。懲りもせず何度も何度も話す。結論など出ず、ひたすら潰れるまで話す。二人の作品は性質も違えばビジュアルも違う。 表現方法も違う。 しかし、アートに対する「まじめさ」と「素直さ」は共通している。こんな二人を掛け合わせたら多分予想ができない面白いことが起こる気がした。そこに私は入り込めない感じもした。 キュレーションと呼べないかもしれないが、単純に自分がこの二人の化学反応を見てみたいので二人に声をかけた。

「まじめ」で「素直」な二人ははっきり言って「面倒臭い人たち」だ。 どんな展覧会にするのかのディスカッションが私を含む三人のグループメッセージで行われた。 夜遅くに巳巳さんのとても長い文章が送られてきて、翌朝早くに飯沢さんが長い文章を返し、私はそれを読むという繰り返しが約一ヶ月も続いた。正直しんどいくらいに平行線のやりとりが続いたが、展覧会を作る上ではとても重要なやりとりとなった。このやりとりを全てプリントアウトして膨大な量のテキストとしてギャラリーに貼るだけで作品になりそうだったが、二人に硬く拒まれたので、このやりとりは三人の中だけのものとなった。なかなかの面倒臭さである。 最終的にどんな作品が展示され二人からアウトプットされるのかは想像できないが、何故か全く不安にならない自分がいる。既に意味のある展覧会になっているからであろうか。

企画:西島雄志/ newroll